こんにちは。三重県津市にある川村歯科クリニックです。
お子さまの矯正治療といえば、永久歯が生えそろったタイミングで行う「ワイヤー矯正」や「マウスピース矯正」が一般的です。矯正治療には、このほかに「インビザライン・ファースト」という、乳歯と永久歯が混在する時期に行うマウスピース矯正があり、さまざまなメリットがあります。
本記事では、インビザライン・ファーストについて詳しく解説します。
インビザライン・ファーストとは
インビザライン・ファーストは、マウスピース矯正のブランドであるインビザラインが提供するマウスピースの一種です。1997年にアメリカのアラインテクノロジー社で開発された矯正治療用のマウスピースで、1999年に初めてアメリカで使用されました。
以降、世界中で臨床実績をもつことから、現在のマウスピース矯正のパイオニアといえます。インビザラインシリーズの「インビザライン・ファースト」は、ファーストという単語からわかるようにお子さまが対象です。
インビザライン・ファーストの特徴は、以下のとおりです。
インビザラインシリーズとインビザライン・ファースト
インビザラインシリーズは、メインとなるインビザライン、適用範囲が前歯だけであるインビザライン Go、お子さまを対象としたインビザライン・ファーストの三種類があります。
<インビザラインシリーズの概要>
インビザラインの種類 | 概要 |
---|---|
インビザライン | 上下顎の全ての歯を対象として歯並びを整える |
インビザライン Go | 前の歯に限定して歯並びを整える |
インビザライン・ファースト | お子さまの顎の成長と歯並び改善をサポートする |
インビザライン・ファーストの対象年齢
お子さま向けのインビザライン・ファーストは、1期治療(6~10歳前後)を対象としています。小児矯正は、6~10歳頃に歯の土台を作る1期治療、および12歳前後に歯並びを整え2期治療の2つに分けられます。永久歯が生えそろった2期に行うワイヤー矯正やマウスピース矯正が一般的ですが、インビザライン・ファーストは1期のお子さまに向けた治療器具です。
インビザライン・ファーストの費用
インビザライン・ファースト含むインビザラインシリーズの費用は、以下のとおりです。
<インビザラインシリーズの費用相場>
インビザラインの種類 | 費用相場 |
---|---|
インビザライン | 70~100万円 |
インビザラインGo | 20~40万円 |
インビザライン・ファースト | 50~80万円 |
※歯科医院によって価格設定に差があります。
インビザライン・ファーストの費用は、歯科医院により価格差が大きく、30~40万円ほどで治療可能な歯科医院から100万円近くする歯科医院などさまざまです。
費用が異なる理由として、インビザライン・ファーストの1期治療のみの費用を表示しているケースやインビザライン・ファーストの1期治療に加えて2期の費用も合算しているケースなど、歯科医院によって価格表示の範囲が異なることがあげられます。
インビザライン・ファーストの治療期間
インビザライン・ファーストを含む、インビザラインシリーズの治療期間の目安は、以下のとおりです。
<インビザラインシリーズの治療期間の目安>
インビザラインの種類 | 治療期間の目安 |
---|---|
インビザライン | 約1~2年間 |
インビザラインGo | 数か月~1年間 |
インビザライン・ファースト | 最大18か月 |
インビザライン・ファーストは、インビザラインが定める以下の条件を満たしている場合に限り利用することができ、18か月以内で治療が完了します。
- 第一大臼歯が萌出している
- 切歯のうち少なくとも2歯が2/3以上萌出している
- 少なくとも3/4顎に乳歯(C、D、E)または未萌出の永久歯 (3、4、5)が2歯以上ある
インビザライン・ファーストのメリット
インビザライン・ファーストのメリットは、以下のとおりです。
外から目立たなくて済む
インビザライン・ファーストを含むマウスピース矯正の特徴として、マウスピースが透明のため、装着しても目立たないことがあげられます。遠目であればマウスピースに気づかれることはほぼなく、見た目を気にしがちなお子さまにとって目立ちにくいことは大きなメリットです。
取り外しが可能である
ワイヤー矯正のように器具を歯に接着する方法は取り外しができませんが、インビザライン・ファーストのマウスピースは取り外しが可能です。食事や歯磨きの際は、ご自身で外すことができます。
ただし、インビザライン・ファーストは1日20~22時間以上装着しなければいけないため、取り外したあとの装着忘れには注意が必要です。
ケガをしたときのリスクが少なくて済む
インビザライン・ファーストのマウスピースは、柔らかい樹脂素材を用いて、薄く滑らかに製作されています。そのため、お子さまが運動時などに顔をぶつけてしまった場合でも、矯正器具によって口内を傷つけるリスクは低減されます。
通院回数が少なくて済む
一般的なワイヤー矯正であれば、2週間~1か月に一度は歯科医院で器具の調整が必要です。
しかし、インビザライン・ファーストは1~2か月に一度の通院でよいため、頻繁にお子さまを通院させることが難しい方などに向いています。
インビザライン・ファーストのデメリット
インビザライン・ファーストのデメリットは、以下のとおりです。
長時間の装着が必要である
インビザライン・ファーストでは、1日20~22時間以上の装着が必要です。食事や歯磨きの際の取り外し時間をのぞけば、ほぼ全ての時間で装着していなければいけません。
大人でも難しいこのルールをお子さまに守ってもらうためには、伝え方を工夫することや習慣化するまで、しっかり大人が管理することが重要です。
適用条件がある
インビザライン・ファーストを使用するためには、インビザラインが定める乳歯と永久歯の状態に適用していなければいけません。また、骨格が原因となる重度の噛み合わせの問題がある場合は適用できないことがあります。
保険適用外である
矯正治療は基本的に保険適用外のため、治療費は全額自己負担です。インビザライン・ファーストも例外ではなく、約50~80万円ほどの費用が発生します。
インビザライン・ファーストとほかの矯正法の違い
インビザライン・ファーストとほかの矯正法の違いは、以下のとおりです。
歯が生える土台の骨を大きくする
一般的な矯正治療は永久歯を動かして歯並びを整えますが、インビザライン・ファーストは永久歯が生える土台となる骨の成長を助けます。
骨が柔らかい1期のお子さまだからこそ効果があり、2期以降のお子さまや成人では難しいのが一般的です。また、1期に歯が生える土台を大きくすることで、これから生えてくる永久歯のスペースを確保し、正しい位置に生えるように補助します。
2期治療の期間が短くなる
インビザライン・ファーストで1期の間に歯が生える土台を大きくしておけば、2期の矯正治療で歯を動かしやすく、治療期間が短縮できます。さらに、治療結果によっては2期の矯正治療が必要なくなるケースもあります。
2期治療で抜歯する可能性が減る
一般的なワイヤー矯正では、歯を整えるスペースを作るために健康な歯を数本抜くことがあります。
インビザライン・ファーストを用いて1期の間に土台となる骨を大きくしておけば、2期で矯正する際に歯を並べるスペースが十分あるため、抜歯をせずにすむ可能性が高まります。
まとめ
今回は、インビザライン・ファーストの特徴やメリットやデメリットなどについて解説しました。
インビザライン・ファーストは、6~10歳頃(1期)を対象として、歯が生える土台となる骨を大きくする効果があります。インビザライン・ファーストは、透明で装着時に目立たない、取り外しが可能である、通院回数が少なくてすむなどのメリットがある一方、長時間の装着が必要である、適用条件があるなどのデメリットもあります。お子さまの矯正治療をご検討中の方の参考になれば幸いです。
インビザライン・ファーストを検討されている方は、三重県津市にある川村歯科クリニックにお気軽にご相談ください。