こんにちは。三重県津市にある川村歯科クリニックです。
「入れ歯は目立つイメージがあって使いたくない……」と思っている方は多いのではないでしょうか。入れ歯が目立つという悩みを解消するために、近年、目立たない入れ歯が注目されています。
今回は、目立たない入れ歯の説明や、メリット・デメリット、費用などについて、わかりやすく解説します。
目立たない部分入れ歯とは
「部分入れ歯」と聞くと、大抵の方は金属のバネで固定するタイプを思い浮かべると思います。金属のバネの部分をクラスプといいますが、このクラスプが入れ歯を目立たせる原因となっているのです。
近年、クラスプを使用しない部分入れ歯が注目されています。このような入れ歯を「ノンクラスプデンチャー」といいます。
目立たない部分入れ歯のメリット・デメリット
ノンクラスプデンチャーは、目立たない部分入れ歯として近年注目されています。ノンクラスプデンチャーのメリットとデメリットについて、それぞれ解説します。
ノンクラスプデンチャーのメリット
まず、ノンクラスプデンチャーのメリットについて解説します。
優れた審美性
ノンクラスプデンチャーが選択される最も多い理由は、審美性が優れていることです。
金属を一切使用せず、前歯などの目立つ部分に装着しても違和感がありません。固定する床の部分も歯茎に近い色のため、周囲から気づかれずに入れ歯を装着できます。
身体への負担軽減
装着する際にインプラントのような外科的治療は不要です。そのため、治療後の痛みや麻酔などによる副作用の心配がなく、身体への負担が少なく済みます。
痛みの軽減
金属のクラスプを使用する部分入れ歯は、違和感や痛みを引き起こすことがあります。
金属の部分入れ歯に比べ、ノンクラスプデンチャーは金属を一切使用しません。素材の特性から薄く作れるため、違和感や痛みが少ないです。
金属アレルギーでも使用可能
ノンクラスプデンチャーは、すべての部位に金属を一切使用していません。金属アレルギーのある方でも安心して使用できます。
残存歯への負担軽減
部分入れ歯は、隣の残存歯へクラスプで固定して装着します。樹脂は、金属に比べて柔らかいため、固定する際の残存歯への負担を軽減できます。
ノンクラスプデンチャーはそもそもクラスプがなく、歯茎や歯を覆うように固定するため、残存歯への負担が軽減できるのです。
発音への影響が少ない
ノンクラスプデンチャーは、柔らかく薄い素材であることから、お口にフィットします。そのため、発音する際の影響が少ないです。
骨量に関係なく選択可能
インプラントは、顎骨の状態によっては選択できません。
しかし、ノンクラスプデンチャーのような部分入れ歯は、骨量に左右されることなく選択できます。
ノンクラスプデンチャーのデメリット
つづいて、ノンクラスプデンチャーのデメリットについて解説します。
経済的な負担が大きい
ノンクラスプデンチャーは自費診療のため、経済的な負担が大きいです。
また、選択する素材やお手入れ方法にもよりますが、2~5年程度で交換が必要な場合もあります。従来の入れ歯と比較すると、値段は高価で、交換頻度が同じくらいであるため、経済的に負担がかかります。
修理が難しい
従来の入れ歯と違い、ノンクラスプデンチャーは特殊な素材が使用されているため、修理が難しく、歯科医院ですぐに修理できない場合があります。
しかし、種類によっては、すぐに修理可能な素材を選択できます。
目立たない部分入れ歯は保険適用となるのか
ノンクラスプデンチャーは、保険適用とならず自由診療です。そのため、保険適用可能な従来の入れ歯と比較すると、かなりの費用がかかります。
歯科医院でしっかりと相談し、納得したうえで、素材などを選択していくことが大切です。
目立たない部分入れ歯の素材
ノンクラスプデンチャーで使用されている素材は、以下のとおりです。
ナイロン(ポリアミド系樹脂)
ナイロンで作製されたノンクラスプデンチャーは、特に柔軟性に優れています。壊れにくく、お口へのフィット感がよいでしょう。
しかし、柔らかいがゆえに、噛む力を吸収するデメリットや、素材の性質から修理や調整がしにくいというデメリットもあります。
ポリエステル
ポリエステルで作製されたノンクラスプデンチャーは、ナイロンと比較するとやや硬めです。硬いため、噛む力が歯茎へ伝わりやすく、噛む際の違和感が少ないでしょう。また、表面が傷つきにくく、変色もしにくいため、年数によって劣化しにくいのもメリットといえます。
ポリエステル素材の性質から、歯科医院ですぐに修理可能ですが、ノンクラスプデンチャーの歴史が浅いため、選択できる種類が限られます。
アクリル
アクリルで作製されたノンクラスプデンチャーは、修理しやすい素材です。ポリエステルと同様に、アクリルも素材の性質から歯科医院ですぐに修理可能です。
アクリルは、硬すぎず、柔らかすぎない素材といえます。
ポリカーボネート
ポリカーボネートで作製されたノンクラスプデンチャーは、もともとノンクラスプデンチャーのために改良された素材です。ほかの素材と比較すると最も硬く、衝撃に強いため耐久性に優れています。さらに、変色しにくく、表面の傷がつきにくい特徴もあります。
硬さが十分あるため、噛む力をダイレクトに歯茎へ伝えることができますが、硬いがゆえに、強い衝撃でひびができることや割れることがあります。こちらも歴史が浅く、選択できる種類が限られるのでご相談が必要です。
ポリプロピレン
ポリプロピレンで作製されたノンクラスプデンチャーは、ほかの素材と比較し、最も軽いのが特徴です。装着しやすいのがメリットといえるでしょう。また、におい移りがしにくく、清潔に保ちやすい特徴もあります。
ポリプロピレンのノンクラスプデンチャーも歴史が浅く、使用できる種類は限られます。
目立たない部分入れ歯の費用相場
ノンクラスプデンチャーの費用相場は、10~30万円です。
保険適用の部分入れ歯は5千~1万5千円程度のため、かなりの費用がかかりますが、審美性に優れていることやお手入れによっては交換頻度を少なくできるため、選択する方が増えています。
まずは、保険適用である金属の部分入れ歯を使用して、気になるようであれば変更を検討するのがよいでしょう。
目立たない部分入れ歯の寿命
ノンクラスプデンチャーのデメリットとして、2~5年程度で交換が必要な場合があると前述しました。交換頻度は、選択する素材やお手入れ方法、装着部位などにより異なります。
しかし、患者さまによっては10年以上交換をせずに使用している方もいます。交換頻度を少なくしたい方は、ノンメタルではなくなりますが、金属のワイヤーを組み合わせて作製することも場合によっては可能です。金属のワイヤーが中に入ることで、アルティメット樹脂と金属のワイヤーでより耐久性を高めてくれます。金属のワイヤーは外からは見えないように工夫されており、見た目も自然です。「使っているうちに入れ歯のサイズがあわなくなった」というお悩みも、金属のワイヤーを締めることで解消できるため、不要な交換をさけられます。
ただし、金属を使用しているため、金属アレルギーの方は選択できません。また、金属のワイヤーは見えないように工夫されているものの、ノンメタルのものと比較すると審美性が劣ります。
まとめ
今回は、目立たない入れ歯として近年注目されている「ノンクラスプデンチャー」について解説しました。ノンクラスプデンチャーは、審美性に優れており、入れ歯を躊躇している方に向いています。気になる方はぜひ一度、歯科医院へご相談ください。
目立たない部分入れ歯を検討されている方は、三重県津市にある川村歯科クリニックにお気軽にご相談ください。