部分入れ歯を入れると違和感が?原因と対処法を解説!

こんにちは。三重県津市にある川村歯科クリニックです。

部分入れ歯を入れると、口内に違和感が生じる方がいらっしゃいます。違和感の原因はさまざまですが、ほとんどの場合、調整や作り直しで改善が期待できます。

ただし、部分入れ歯の違和感を放置すると歯や歯茎に悪影響を及ぼす可能性もあるため、早めの対処が必要です。

今回は、部分入れ歯で生じる違和感の原因と対処法について解説します。

部分入れ歯の違和感の原因と対処法

ドミノが倒れるのを防いでいる様子

部分入れ歯を装着していると、さまざまなことが原因で違和感が生じることがあります。

以下、違和感の原因とともに対処法もあわせて解説します。

部分入れ歯が安定しない

部分入れ歯は金具で歯に固定されますが、適切でない設計や緩んだ金具のせいで、入れ歯が動くことや外れることがあります。部分入れ歯の設計の見直しや金具の調整で違和感を改善できます。

入れ歯の段差で違和感が生じる

入れ歯を完全に薄くするのは難しいですが、部分的に薄くすることや歯茎の境界を滑らかにすることで、舌の違和感を減らすことができます。そのためには、お口の型取りを正確に行い、入れ歯の作製も高精度で行うことが必要です。精度が低い入れ歯は段差が多く、不快感を生じることが多いでしょう。

部分入れ歯の縁の長さや厚さで圧迫感が生じる

入れ歯の一部がお口の中の敏感な部分にあたると、圧迫感を生じることがあります。圧迫感を緩和するためには、入れ歯の部分を短くしたり薄くしたりする調整が効果的です。

さらに、金具の位置変更など、設計を大きく変えることによって違和感が軽減する場合もあります。

部分入れ歯の上顎部分の金具(パラタルバー)があたる

部分入れ歯の上側には、左右をつなぐ「パラタルバー」という部品がつくことがあります。パラタルバーの位置は、上顎の奥や手前など配置が異なります。人によって上顎の形は異なるため、違和感が生じる場所も異なるでしょう。

たとえば、パラタルバーが奥にあることで違和感が生じる方は、バーの位置を変えることで改善できる可能性があります。パラタルバーはさまざまな形状があるため、ご自身に合うものを探しましょう。

部分入れ歯が舌にあたって違和感が生じる

部分入れ歯やパラタルバーが前歯近くにあると、舌に触れて違和感が生じることがあります。違和感を軽減するためには、設計を変更して位置を少しうしろに移動する方法があります。また、前歯部分で補綴(ほてつ)が必要な場合は、入れ歯やバーをできるだけ薄く設計することで舌の違和感を減少させることが可能です。

さらに、舌のスペースが狭い原因として、噛み合わせの高さが適切でないことも考えられます。その場合、噛み合わせを調整することで、快適に使用することができるでしょう。

部分入れ歯の舌側の金具(リンガルバー)が接触する

下の部分入れ歯にはリンガルバーという部品があり、左右の入れ歯をつなぐ役割を果たしています。リンガルバーの位置は、深くする・歯の近くにするなど、さまざまです。

人それぞれ感じ方は異なりますが、舌の動きを妨げず、なるべく舌の裏に隠れるように配置すると違和感が少なくなることが多いです。

入れ歯と歯茎の間に食べ物が詰まる

部分入れ歯の金具「クラスプ」は、構造上、物が詰まりやすい特性がありますが、クラスプを最小限にすることで違和感を軽減できる場合があります。歯茎とのフィット感が不足している場合は、より高精度なものを作製することで問題を解消できるでしょう。

リンガルバーや舌側の入れ歯の形状も食べ物が溜まる一因となるため、設計の見直しが有効です。また、歯の形を微調整(リカンタリング)することや、クラスプのタイプを変更することで改善できる可能性があります。

発音が難しくなる

発音する際、私たちは無意識のうちに舌や口の筋肉を動かしています。

しかし、入れ歯がこれらの動きを妨げると、はっきりとした発音が難しくなることがあります。その場合、舌の動きや入れ歯との関わりを詳しく調べ、調整を行う必要があるでしょう。

特に、部分入れ歯に関してはパラタルバーやリンガルバーの設計を見直すことで、総入れ歯よりも発音の問題を解決しやすいです。

口内が狭く感じる

お口の中で感じるスペースは、上下の顎の位置に大きく影響します。顎同士が近過ぎると、口内の空間が狭まり、違和感が生じることがあります。

さらに、部分入れ歯の歯の配置が内側に向きすぎている場合や入れ歯自体が分厚い場合も、違和感が生じることがあるでしょう。これらの問題を解消するためには、入れ歯の形状や厚み、歯の配置を適切に調整することが必要です。

舌の動きに制限がかかる

お口の中が狭い場合や部分入れ歯の縁が舌の動きと合わない場合、舌が自由に動かせず違和感が生じることがあります。舌の動きを制限させないために、お口の中のスペースを調整するだけでなく、舌の動きを型取りして、そのデータをもとに部分入れ歯を調整します。

なにかを頬張っている感じがする

お口の中が狭いと感じるのとは反対に、上下の顎の間隔が広すぎるとしっかりお口を閉じることが難しく、ものを頬張っているような感じがします。この違和感は、噛み合わせの高さを調整することで改善できることが多いです。

唇が閉じにくくなる

噛み合わせが高い、または部分入れ歯の前歯が出っ歯のような位置になっていると、唇をしっかり閉じるのが難しくなることがあります。噛み合わせの高さや部分入れ歯の前歯の位置を適切に調整することで、快適に使えるようになるでしょう。

違和感を生じたまま部分入れ歯を使い続けると

ひどく落胆している様子の女性

違和感を生じたまま部分入れ歯を使い続けると、不快な思いをするだけでなく、歯や歯茎などに悪影響を及ぼす可能性があります。

違和感を生じたまま部分入れ歯を使い続けることであらわれる悪影響の例は、以下のとおりです。

健康な歯に悪影響を及ぼす

部分入れ歯に異物感がある場合、入れ歯が適切にフィットしていない可能性や噛み合わせが正確でない可能性が高いです。

このような状態で部分入れ歯を使い続けると、噛み合わせのズレや隣接する天然歯への過度な負担が生じ、歯の寿命を縮める可能性があります。長期的には、ほかの歯へのダメージや異常な歯の摩耗など、さまざまな問題が生じる可能性が考えられます。

歯茎にトラブルが発生する

部分入れ歯がお口の中や歯茎に継続的に違和感や痛みをもたらす場合、そのまま放置すると、口内の健康問題が引き起こされる可能性があります。

たとえば「義歯性線維腫」や「フラビーガム(摩擦性角化症)」などの歯茎の疾患は、不適切な入れ歯の使用によって引き起こされることが知られています。これらの疾患が進行すると、切除手術が必要となる場合もあるでしょう。健康な口内環境を保つためにも、部分入れ歯の違和感や痛みに対しては早めの対処が必要です

発音が困難となる

部分入れ歯は、適切に調整されていないとお口や舌の動きを妨げ、正確な発音が困難となることがあります。特に、クラスプや義歯床の部分の調整が適切でない場合、日常の会話や発音に支障をきたすことがあるでしょう。

発音の不明瞭さは、印象に悪影響を与えるだけでなく、信頼関係の構築にまで影響を及ぼす可能性があります。

吐き気を引き起こす場合がある

部分入れ歯に違和感があると「異物」としての意識を強くもつことがあります。

強い異物感があることで、吐き気を伴うような体調不良が生じることもあるでしょう。そのため、無理に我慢して部分入れ歯を使い続けることはよくありません。

生活の質が低下する

違和感のある部分入れ歯を日常的に使用することは、精神的なストレスの原因となります。

この違和感は、食事のときに特に顕著に表れることが多く、食事の楽しみが失われる場合があります。たとえば、ご家族やご友人との食事や旅行の際に部分入れ歯の違和感に気を取られ、思い切り楽しむことができなくなるかもしれません。

違和感が少ない部分入れ歯はある?

クエスチョンマーク

部分入れ歯にはいくつか種類があり、ものによっては違和感を軽減できる可能性があります。

以下、違和感が比較的少ない部分入れ歯をご紹介します。

馬蹄形の入れ歯

上顎全体を覆う入れ歯の違和感が気になる方には、馬蹄形の入れ歯が向いています。

馬蹄形の入れ歯は、上顎を覆う部分が少ないデザインで、下の総入れ歯の形状と似ています。入れ歯の厚さに違和感がある方は、馬蹄形の入れ歯を使用することでより自然な感覚が得られるでしょう。

ただし、馬蹄形の入れ歯を適用できるかどうかは、残存している歯の数や位置、全体的な口内の状態などによります。

コーヌスクローネ

コーヌスクローネは、歯の根が健康で保存可能な際に選択できる特殊な入れ歯のひとつです。この方法では、歯の根に特別な金属の土台を取り付け、土台とぴったり合うようにした入れ歯を装着します。

入れ歯の部分には、茶筒の蓋のような構造があり、これが金属の土台に密着することで非常に安定した装着感を実現します。そのため、従来の入れ歯のようにほかの歯にクラスプをかける必要がなく、デザインもスリムであるのが特長です。

しかし、コーヌスクローネを作製するには高度な技術が求められるため、実際に提供している歯科医院は限られています。また、技術的な難易度と材料コストも高いため、費用は100万円以上のケースが多いです。

まとめ

入れ歯の模型を手にもった男性

部分入れ歯を装着していると、さまざまなことが原因で違和感が生じることがあります。部分入れ歯の違和感は精神的なストレスになるだけでなく、歯や歯茎の健康に悪影響を及ぼすこともあります。そのため、違和感や痛みがある場合は、早めに歯科医院にご相談ください。

また、部分入れ歯にはいくつか種類があり、違和感が少ない入れ歯も存在します。今回ご紹介した「馬蹄形の入れ歯」や「コーヌスクローネ」は、違和感が比較的少ない設計ですが、適用できる方は限られています。

部分入れ歯を検討されている方は、三重県津市にある川村歯科クリニックにお気軽にご相談ください。

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