こんにちは。三重県津市にある川村歯科クリニックです。
失った歯の代わりとなる部分入れ歯ですが、装着時に違和感があると悩む方も多いです。「違和感があるから外している」という方もいるようですが、部分入れ歯を外した状態で過ごすと口腔内に悪影響を及ぼすことがあります。そのため、装着時に違和感がある場合は早めに対処することが大切です。
今回は、部分入れ歯に違和感がある状態で使用するリスクや、違和感の原因と対処法について詳しく解説します。
違和感があるまま部分入れ歯を使用し続けるリスク
はじめに、違和感があるまま部分入れ歯を使用し続けるリスクをご説明します。
健康な歯に影響を及ぼす
部分入れ歯の装着時に違和感があるということは、なんらかの理由で入れ歯が自分に合っていないということです。
合わない部分入れ歯を使用し続けると、部分入れ歯を固定している健康な歯に負担がかかり、最悪の場合、抜歯になる可能性があります。また、合わない部分入れ歯を使用し続けることによって、噛み合わせが変化することもあります。
QOLが低下する
QOL(クオリティ・オブ・ライフ)とは、生活の質のことです。違和感があるまま部分入れ歯を使用し続けることで、食事の楽しみが減る、会話をすることが億劫になるなど、QOLが低下することがあるでしょう。
QOLが低下し部分入れ歯にストレスを感じることで、装着すること自体に拒否反応がでることもあるのです。身体が部分入れ歯を異物と認識するようになり、吐き気や頭痛などを引き起こすこともあります。
発音に影響を及ぼす
部分入れ歯が自分に合っていない状態で装着すると、発音する際に口や舌の動きが制限され、うまく発音ができなくなります。うまく発音できないことで、人と会話することを避けるなど、生活に影響を及ぼす可能性があるでしょう。
口腔内に炎症を引き起こす
自分に合った入れ歯を装着しないと、バネの部分などが口腔内の粘膜を傷つけます。口腔内に炎症が生じ、感染症などを引き起こすリスクが高くなるのです。
精神面に影響を及ぼす
噛むという動作は脳に刺激を与え、集中力や気分を高める効果があります。うまく噛めなくなると、集中力の低下や気分が落ち込みやすくなるなど、精神面に影響を及ぼすことがあります。また、脳への刺激が低下するため、認知症になりやすくなるという報告もあるのです。
部分入れ歯を外したまま過ごすリスク
部分入れ歯の違和感から、入れ歯を外したまま過ごす方がいます。歯がない状態が続くことで引き起こされるリスクは、以下のとおりです。
健康な歯に影響を及ぼす
入れ歯を装着せず歯の本数が少ないまま噛み続けると、残存歯にかかる負担が大きくなります。歯が削れたり抜歯になったりする場合があるなど、歯の寿命を縮める原因となるでしょう。
歯並びに影響を及ぼす
入れ歯を装着せず歯が抜けたスペースがあいたままだと、周囲の歯があいたスペースに倒れこむように傾きます。入れ歯を装着せずに過ごすと、歯並びが乱れる可能性が高いです。
虫歯や歯周病になりやすくなる
上述したように、歯並びが悪くなると歯に汚れが溜まりやすくなります。歯磨きも難しくなるため磨き残しが増え、虫歯や歯周病のリスクが高くなるのです。
部分入れ歯の違和感の原因と対処法
部分入れ歯の違和感の原因と、対処法について解説します。
入れ歯の厚みが合っていない
部分入れ歯そのものの厚みが違和感の原因の場合があります。部分入れ歯の床は、プラスチック材料であるレジンで作製されることが多いです。レジンは薄いと割れやすいため、ある程度の厚みを保って入れ歯を作製する必要があります。
自費診療で選択できる金属床に変更することで、床を薄く作製でき、違和感を減らすことができます。特に、舌があたりやすい部分を金属床に変更すると、違和感が大きく減るでしょう。金属床は、違和感が生じにくいだけでなく、温度を感じやすいため食事の楽しみを維持することもできます。
歯茎や顎の骨が痩せた
歯周病や骨粗しょう症、加齢などによって歯茎や顎の骨が痩せることがあります。歯茎や顎の骨が痩せて、部分入れ歯と歯茎にすき間ができることで、違和感をもつ場合も多いです。
入れ歯の作り直しが必要な場合と、作り直さず補修のみでよい場合があります。補修の際は、入れ歯の裏側に硬化前のプラスチックを流し固める「リベース」とよばれる方法が用いられます。リベースを行うことで、入れ歯が歯茎合う形状に補修されるのです。作り直さなくてよいことがメリットですが、厚みが出るなどのデメリットもあります。担当の歯科医師としっかりと相談したうえで選択しましょう。
入れ歯が汚れている
入れ歯に汚れが付着している場合も、違和感の原因となります。歯と歯のすき間や金属バネなどに汚れが溜まりやすいので、注意して磨きましょう。
食後に洗浄するだけでなく、1日1回は入れ歯用洗剤を使用して汚れをリセットすることが効果的です。歯科医院でも入れ歯の洗浄方法の指導を受けることができるので、心配な方は指導を受けましょう。
入れ歯の調整に不具合がある
一般的な部分入れ歯は、金属バネで締め付ける力を調整しますが、締め付ける力が合っていないと違和感や痛みの原因となります。また、入れ歯は着脱を繰り返すことで金属バネが緩むことがあります。
調整の不具合の場合、歯科医院で再調整することで違和感を軽減できるので、早めに相談しましょう。
入れ歯が劣化した
入れ歯は徐々に劣化します。入れ歯が劣化すると、変形や変色する場合があります。変形が違和感の原因の場合があるため、入れ歯は劣化する前に作り直すことが大切です。
一般的な入れ歯の寿命は、プラスチック製で3~5年、金属性は長くて10年ほどとされています。部分入れ歯を作製する際に、自費診療で金属床やセラミックの人工歯を選択することで、入れ歯の寿命を伸ばすことができるでしょう。
支えとなる歯が変形した
部分入れ歯は健康な歯に金属バネをひっかけて固定します。支えとなる歯が虫歯や歯周病などによって変形する、傾くなどが起きると、部分入れ歯がうまく固定されず違和感の原因となることがあります。定期的に歯科検診を受け、健康な歯に異常がないか確認してもらい、虫歯や歯周病の予防に努めることが大切です。
金属バネが合わない
金属バネの構造自体が合わない方や、金属バネの周りに食べかすなどの汚れが付着することが違和感の原因となることがあります。金属バネが合わない場合、自費診療ですがノンクラスプデンチャーとよばれる部分入れ歯を選択することが可能です。
ノンクラスプデンチャーは、一般の部分入れ歯のようなバネを一切使用せず、義歯床で歯茎を覆うようにして支える部分入れ歯です。金属バネがないためフィット感があり、違和感も少ないとされています。軽くて弾力もあるため装着感が優れており、入れ歯を初めて装着する方にも向いています。
まとめ
今回は、部分入れ歯を違和感があるまま使用するリスク、違和感の原因と対処法について解説しました。
自分に合っていない部分入れ歯を装着することは、生活の質を低下させる原因となります。違和感があるからと入れ歯を装着しないままでいると、歯並びの乱れや虫歯・歯周病を引き起こすリスクがあります。入れ歯を装着した際に違和感がある場合は、早めに歯科医院に相談し対処してもらいましょう。
部分入れ歯を検討されている方は、三重県津市にある川村歯科クリニックにお気軽にご相談ください。