こんにちは。三重県津市にある川村歯科クリニックです。
部分入れ歯は長時間装着するため、正しいお手入れ方法で清潔に保つ必要があります。間違った方法でお手入れし続けると、部分入れ歯の寿命を縮める原因となるでしょう。
噛み合わせが悪化する、残っている歯に悪影響を及ぼすなど、トラブルにつながる可能性があります。口腔内の健康は全身の健康に影響を及ぼすので、身体に悪影響を及ぼす可能性もあるでしょう。
今回は、部分入れ歯の適切なお手入れ方法と注意点を解説します。部分入れ歯を使用している方や、部分入れ歯を使用しているご高齢のご家族がいらっしゃる方は、ぜひ参考にしてください。
部分入れ歯をお手入れせずに使用するリスク
部分入れ歯をお手入れせずに使用するリスクは、以下のとおりです。
- 虫歯や歯周病が進行する
- 口臭の原因になる
- 口内炎ができやすい
- 部分入れ歯が着色する
- 呼吸器感染症の原因になる
詳しく解説します。
虫歯や歯周病が進行する
部分入れ歯を使用している方は、すでに虫歯や歯周病が原因で歯を失うことになった場合が多いでしょう。口腔内のトラブルを抱えている方が清潔に保たれていない部分入れ歯を使用すると、虫歯や歯周病が進行しやすいです。
部分入れ歯は汚れが付着しやすい素材でできており、歯に引っかけるクラスプにも汚れが残りやすいです。そのため、部分入れ歯のお手入れが不十分だと虫歯や歯周病のリスクが高まります。
口臭の原因になる
部分入れ歯に食べかすや汚れが付着した状態で放置すると、口臭の原因となります。口の中が乾燥していると細菌が増殖しやすいため、より口臭が強くなるでしょう。
歯磨きと同じように、部分入れ歯のお手入れを行うことは非常に大切です。
口内炎ができやすい
部分入れ歯を装着していると、お口の中の粘膜を継続的に圧迫します。そのため、炎症を起こしやすいです。
汚れが付着した部分入れ歯を装着すると、細菌が増殖して口内炎を引き起こすでしょう。口内炎ができると、腫れや痛みで部分入れ歯を装着することが難しくなることもあります。
部分入れ歯が着色する
部分入れ歯のお手入れを行わないと、歯と同じように着色されます。人工歯が着色すると、黄ばんでご自身の歯との色の差が目立つようになるでしょう。特に前歯の部分入れ歯を使用している場合、非常に目立ちます。
歯石も、ご自身で除去することは困難です。無理に取ろうとして部分入れ歯に傷がつくと、さらに汚れが付着しやすくなるでしょう。
着色や歯石が気になる場合は、歯科医院に相談してください。
呼吸器感染症の原因になる
要介護認定を受けた高齢者の入れ歯から、誤嚥性肺炎など呼吸器感染症の原因となる細菌が見つかることがあります。誤嚥性肺炎は、飲食物が食道ではなく気管に入り、肺に細菌が流れ込んで増殖することで起こります。
飲食物を飲み込む機能が衰えている高齢者に起こりやすく、飲食物とともに部分入れ歯に付着した細菌が流れ込むことが原因です。ご高齢の方や要介護認定を受けている方は、特に注意する必要があるでしょう。
部分入れ歯の適切なお手入れ方法
部分入れ歯は、毎食後に洗うのが理想です。加えて1日1回、就寝前には丁寧に洗う習慣をつけましょう。
適切な毎食後のお手入れ方法と、就寝前のお手入れ方法をそれぞれ詳しく解説します。
毎食後のお手入れ方法
部分入れ歯は、毎食後にお手入れすると清潔に保てます。
部分入れ歯を外して、水やぬるま湯で汚れを洗い流しましょう。入れ歯用ブラシを使用すると、クラスプなどの細かい部分まできれいに洗えます。
歯ブラシでも構いませんが、歯磨きをするものとは別の歯ブラシを用意しましょう。ゴシゴシと力を入れて洗うと傷がつくため、優しく洗ってください。
就寝前のお手入れ方法
就寝中は、部分入れ歯を外して歯茎を休ませる必要があります。就寝前は入れ歯洗浄剤を使用してお手入れしましょう。
洗浄剤を使用することで、ブラシだけでは落とせない汚れを除去できます。除菌・消臭効果も期待できるため、毎日または2~3日に1回は使用しましょう。
就寝前は、以下の4ステップでお手入れを行います。
毎食後と同じお手入れ
まずは、毎食後と同じようにお手入れしましょう。ブラシを使用して、水やぬるま湯を流しながら優しく丁寧に洗います。
洗浄剤で浸け置き
コップや容器に水、またはぬるま湯を入れて洗浄剤を溶かします。部分入れ歯を入れて、定められた時間浸け置きして汚れを落としましょう。
仕上げ洗い
洗浄剤での浸け置きが終了したら、ブラシを使用して仕上げ洗いをします。水やぬるま湯を流しながら、優しく洗ってください。
乾燥を防いで保管
入れ歯は乾燥に弱いため、長時間乾燥した状態が続くと変形やヒビ割れの原因となります。就寝中や長時間外す場合は、お手入れを行ったあとに水を張ったコップや容器に浸して保管しましょう。
部分入れ歯をお手入れするときの注意点
部分入れ歯のお手入れをするときの注意点は、以下のとおりです。
- 歯磨き粉で磨かない
- 毛先の硬い歯ブラシを使用しない
- 熱湯を使わない
- 入れ歯洗浄剤に長時間浸けない
- 破損や紛失に気をつける
- ご自身の歯のお手入れも行う
- 部分入れ歯には寿命がある
詳しく解説します。
歯磨き粉で磨かない
部分入れ歯をご自身の歯と同じように歯磨き粉で磨かないでください。歯磨き粉には研磨剤が含まれていることが多いため、部分入れ歯に細かい傷がつきます。
細かい傷がつくと、汚れが入り込み細菌が増殖するでしょう。
毛先の硬い歯ブラシを使用しない
毛先の硬い歯ブラシも、部分入れ歯に細かい傷をつける原因になります。柔らかい毛先の歯ブラシ、または入れ歯用ブラシを使用しましょう。
着色や頑固な汚れが気になる場合は、入れ歯洗浄剤を使用してください。
熱湯を使わない
部分入れ歯は熱に弱いため、消毒のために熱湯を使用してお手入れすると変形する可能性があります。お手入れの際は、水または40度以下のぬるま湯を使用しましょう。
入れ歯洗浄剤に長時間浸けない
入れ歯洗浄剤には、適切な浸け置き時間があります。長時間浸けるほどきれいになると思うかもしれませんが、過度に浸け置きすると液体の中で細菌が増殖するリスクがあります。
就寝前から朝まで洗浄液に浸けたまま放置することや、同じ洗浄液を何日も使用することは避けましょう。
破損や紛失に気をつける
部分入れ歯のお手入れの際には、破損や紛失に気をつける必要があります。お手入れ中に落として破損する、小さな部分入れ歯が排水溝に流れるなどのトラブルが起こることが非常に多いです。
洗面器などを置いて水を張った上でお手入れすると、落下時の衝撃を和らげられます。排水溝に流れるリスクも低減できるでしょう。
ご自身の歯のお手入れも行う
部分入れ歯のお手入れと同じように、ご自身の歯のお手入れも忘れずに行いましょう。部分入れ歯は、残っている歯にクラスプを引っかけて固定します。
クラスプをかける歯には、汚れが溜まりやすく入れ歯の負担がかかるため、虫歯や歯周病になりやすいです。歯に汚れが残っている状態で部分入れ歯を装着すると、部分入れ歯にも汚れが付着するでしょう。
部分入れ歯とご自身の歯は、どちらも清潔に保つことが大切です。
部分入れ歯には寿命がある
正しくお手入れしていても、部分入れ歯は消耗品のためいつかは寿命を迎えます。寿命が訪れたら、作り替える、修理するなど対応しましょう。
正しくお手入れしていれば、部分入れ歯は3~5年使用できるといわれています。3~5年以上使い続けられる場合もありますが、使用による消耗や劣化は避けられません。
寿命が訪れた部分入れ歯の使用を続けると、虫歯や歯周病になりやすい、噛みにくい、口臭が悪化するなど、さまざまなトラブルを引き起こします。
部分入れ歯を作ったあとも、定期的に歯科医院で検診を受けましょう。噛み合わせの調整などを行うことができ、作り替えが必要な時期も判断してもらえます。
残っているご自身の歯のトラブルを予防することにもつながるため、歯科医院での定期検診は非常に大切です。耐久年数を目安にしながら、部分入れ歯の寿命が訪れるまで適切なお手入れを続けましょう。
まとめ
部分入れ歯を清潔に保つためには、毎日の適切なお手入れは欠かせません。
日々のお手入れを怠ると細菌が増殖し、口内や身体にもトラブルを引き起こす可能性があります。口内と身体の健康のためにも、部分入れ歯は正しくお手入れして清潔に保つことが大切です。
部分入れ歯の使用を検討されている方は、三重県津市にある川村歯科クリニックにお気軽にご相談ください。