こんにちは。三重県津市にある川村歯科クリニックです。
マウスピースをつけたまま食事をすると、マウスピースが変色したり変形したりする可能性があります。また、食べかすが歯とマウスピースの間に詰まりやすくなるため、虫歯や歯周病のリスクも高くなるでしょう。
今回は、マウスピースをつけたまま食事をすることのリスクや注意点について解説します。
マウスピースをつけたまま食事をしても大丈夫?
食事の際は、マウスピースを取り外すことが推奨されています。マウスピースをつけたままの食事は、マウスピースの変形や破損、さらには歯や口腔の健康を害する可能性があるため、絶対にさけましょう。
ワイヤー矯正と違い、マウスピースは外すことができるため、硬い食べ物をのぞけば、基本的に好きなものを食べることが可能です。
ただし、食後はすぐにマウスピースを装着しなくてはなりません。マウスピース矯正の効果を発揮させるためには、1日のうち20〜22時間以上の装着が必要とされています。そのため、食後の歯磨きをしっかり行ったうえで、すぐにマウスピースを再装着することが大切です。
マウスピースをつけたまま食事をしてしまうとどうなる?
マウスピースをつけたまま食事をすると、マウスピースの変色や変形の恐れがあります。そのほかにも、マウスピースが不衛生になることから虫歯や歯周病のリスクが高まるでしょう。以下、詳しく解説します。
マウスピースが変色する可能性がある
マウスピースは透明で目立ちにくい素材で作られていますが、食事の際につけたままにすると、食べ物の色素や着色料が原因で色が変わってしまう可能性があります。特に、カレーやソースなどの色が濃い食べ物は注意が必要です。マウスピースに色が付着すると、透明性が失われ、見た目に影響をおよぼす可能性があります。
また、飲み物も同様に注意が必要です。特に、コーヒーやワイン、紅茶などの色素が強い飲み物は、マウスピースの変色を引き起こす可能性があります。さらに、タバコの煙もマウスピースに着色をもたらします。
このように、食事や喫煙のときにマウスピースをつけたままにすると、変色をまねくことがあるのです。変形や変色をさけるために、柔らかい食べ物であっても飲食の際は必ずマウスピースを外すことが重要です。
マウスピースが変形する可能性がある
マウスピースは、柔軟性のあるプラスチックで作られています。特に、インビザラインで使用されるマウスピースは厚さが約0.5mmと非常に薄いです。非常にデリケートな素材で、食事中の噛みしめや食べ物との摩擦によって変形したり割れたりする可能性があります。そのため、マウスピースをつけたまま食事をすることは推奨されていません。
また、マウスピースが壊れた場合、新しいマウスピースを作るまでの間、歯列矯正の進行が一時的に止まってしまいます。その間、歯が元の位置へ戻る「後戻り」が起こる可能性があります。後戻りが起こると、予定どおりのスケジュールでの矯正治療が難しくなる可能性があるので注意しましょう。
虫歯や歯周病のリスクが高まる
マウスピースをつけたまま食事をすると、さまざまな問題が発生する可能性があります。
そのひとつが、食べかすがマウスピースと歯の間に詰まり、歯や歯茎を汚す可能性があることです。食べかすは、虫歯や歯周病の原因となる歯垢や歯石を生み出す原因となります。虫歯菌や歯周病菌は、食べかすを栄養にして増殖し、さまざまな症状を引き起こすでしょう。
また、マウスピースをつけたまま食事をすると、虫歯菌などを殺す作用をもつ唾液の分泌が阻害され、全体的な口腔内の環境が悪化します。唾液は、口内環境を整える重要な役割をもち、唾液の分泌が少ない状態は虫歯や歯周病のリスクを増加させてしまうため注意しましょう。
矯正治療中に虫歯や歯周病を発症すると、矯正を中断して虫歯や歯周病の治療を優先させなければなりません。先述したように、矯正が中断されると中断中に後戻りが起こってしまい、時間や費用が余計に必要となります。最短かつ最大の治療結果を引き出すために、食事の際はマウスピースを外しましょう。また、食事のあとは必ずお口をきれいにし、マウスピースを丁寧に洗浄することが重要です。
マウスピースをつけたまま飲んでもいいものは?
マウスピースをつけたまま飲んでいいものは、基本的に「水」だけです。着色成分や糖分を含む飲み物は、マウスピースの変色や、虫歯、歯周病の発症リスクを高めます。
以下、飲んでよい飲み物とさけるべき飲み物を解説します。
飲んでよい飲み物:水
マウスピース矯正を行っている間、マウスピースをつけたまま飲んでよいものは基本的に「水」だけです。なぜなら、ほかの飲み物には色素や砂糖が含まれていることが多く、マウスピースの変色や歯の健康を害する可能性があるからです。
甘くない炭酸水もほとんどの場合で問題ないとされていますが、柑橘系のフレーバーが含まれている炭酸水は注意が必要です。柑橘系の飲み物は酸性度が高く、虫歯の原因となることがあります。そのため、マウスピースを装着しているときは、フレーバー入りの炭酸水もさけたほうが無難でしょう。
マウスピースの効果を最大限に発揮し、長持ちさせるためにも、水以外はマウスピースを外して摂取することを心がけましょう。
さけるべき飲み物:色の濃い飲み物
さけるべき飲み物は、コーヒー、お茶、ワインなどです。着色成分の強い飲み物は、マウスピースに色素を付けてしまう可能性があり、透明なマウスピースが変色して見た目が悪くなる可能性があります。マウスピースが黒ずんだり黄ばんだりすると、不潔に見えることもあります。コーヒーや紅茶などを飲む際は、必ずマウスピースを外しましょう。
しかし、マウスピースを交換する直前など、少々汚れても問題ない状況であれば、マウスピースをつけたまま飲むことも可能です。
マウスピースを清潔に保つため、飲食後は歯磨きを行い、マウスピースも丁寧に洗浄することが重要です。これにより、細菌の繁殖を防ぎ、口腔内環境を健康に保つことができます。
さけるべき飲み物:甘い飲み物
甘い飲み物も注意が必要です。ジュースなどに含まれる砂糖は、マウスピースと歯の間に滞留することで虫歯や歯周病のリスクを高めます。なぜなら、唾液の洗浄作用を期待しても、マウスピースの存在により完全に飲み物を洗い流すことが困難になるからです。甘い飲み物を摂取する際はマウスピースを外しましょう。
また、甘い飲み物はジュースだけと思われがちですが、スポーツドリンクも注意が必要です。一見ヘルシーに思えるスポーツドリンクですが、糖分やクエン酸が含まれており、歯についたままの状態だと虫歯の原因となります。さわやかなイメージがありますが、これらの成分が歯にとどまることは、口腔内の健康にとってよくありません。マウスピースをつけたままスポーツドリンクを摂取することもさけましょう。
さけるべき飲み物:熱い飲み物
マウスピースをつけたまま摂取すべきでない飲み物として、熱い飲み物もあげられます。なぜなら、熱い飲み物はマウスピースが作られているプラスチック素材を変形させる原因となるからです。特に、緑茶、紅茶、ホットコーヒーなど、高温になりやすい飲み物には注意が必要です。
しかし、飲み物の温度が40度以下になれば、マウスピースが劣化するリスクはほとんどなくなります。やむを得ずマウスピースをつけたまま温かい飲み物を飲むときは、十分に冷ましてから摂取しましょう。
なお、飲み物だけでなく、マウスピースの洗浄の際も熱いお湯はさけてください。洗浄の際にマウスピースが変形する恐れがあるため、水または40度以下のぬるま湯で洗いましょう。
まとめ
マウスピースをつけたまま食事をすると、さまざまなリスクがあります。まず、マウスピースが変色や変形することがあげられます。マウスピース矯正は、透明で装置が目立たないことが最大のメリットです。マウスピースが変色すると、笑ったときの見た目が悪くなるでしょう。また、マウスピースをつけたまま食事をすることで、変形や破損してしまうと作り直しが必要です。再作製には時間を要するため、その間に後戻りが発生する可能性や、追加で費用がかかる可能性があります。
歯科矯正は、高額で治療期間が長いのが特徴です。時間やお金を無駄にしないためにも、食事の際はマウスピースを外しましょう。
さらに、マウスピースをつけたまま食事をすることで、食べかすが歯とマウスピースの間に詰まりやすくなり、虫歯や歯周病の発症リスクが高まります。虫歯や歯周病になると、治療を優先しなければならないため、歯科矯正が一時的に中止されます。
治療期間が延び、追加で治療費がかかるため、口腔内は清潔に保つことが大切です。特に、マウスピース装着中は、唾液の自浄作用などが十分に働かないためご注意ください。
マウスピース装着中に摂取してよい飲み物は基本的に水のみです。ジュースやコーヒー、スポーツドリンクなど、水以外の飲み物を飲むときはマウスピースを外しましょう。
マウスピースによる歯科矯正を検討されている方は、三重県津市にある川村歯科クリニックにお気軽にご相談ください。