こんにちは。三重県津市にある川村歯科クリニックです。
インビザラインは歯列矯正方法の一つですが、すべての歯並びを治せるわけではありません。「インビザラインで出っ歯は治せるの？」と疑問をおもちの方がいるのではないでしょうか。
今回は、インビザラインで出っ歯は治せるのか解説します。インビザラインで治せる出っ歯の症例から、インビザラインのメリット・デメリットまで幅広く解説しますので、インビザラインを検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
出っ歯とは？
出っ歯とは、上の前歯が前方に突出している状態を言います。歯科では「上顎前突」とも呼ばれ、特に日本人に見られる特徴です。「口ゴボ」としてコンプレックスを抱えている方も少なくありません。
出っ歯はインビザラインをはじめとした矯正治療によって改善が可能です。
インビザラインで出っ歯は治せる？
一般的に「インビザラインで出っ歯は治せる」と言われています。
しかし、出っ歯にはいくつか種類があり、歯の生え方に原因があるものや、骨格に原因があるものがあります。特に、重度の骨格のズレが原因で出っ歯になっている場合は、インビザラインだけでは治せない可能性が高いです。
インビザラインで治せる出っ歯と治せない出っ歯について、以下に詳しく解説します。
インビザラインで治せる出っ歯
出っ歯が歯の傾斜によって生じている場合、インビザラインを用いた治療が有効です。インビザラインは特に歯の傾斜を調整するのに適しており、斜めに飛び出している前歯を正しい位置に矯正することで、出っ歯を改善できます。
また、軽度の骨格のズレが原因である場合も、インビザラインで治療できることがあります。治療法としては、歯列全体を後方に移動させる方法や、抜歯後のスペースを利用して前歯を後退させる方法があります。
インビザラインで治せない出っ歯
重度の骨格のズレが原因で出っ歯になっている場合、インビザラインだけでは治療が難しい場合があります。骨格そのものを移動させる必要があるためです。従来のワイヤー矯正を含む他の歯列矯正方法でも同様に対応が難しいでしょう。
そのため、外科手術など他の治療法と組み合わせて、出っ歯の問題を解消する必要があります。重度の骨格のズレを治療する場合は、複合的なアプローチが必要となることを理解しましょう。
インビザラインのメリット
では、出っ歯をインビザラインで治すメリットについてご紹介します。インビザラインは従来のワイヤー矯正にはないようなメリットが多くあります。
インビザラインのメリットは、以下のとおりです。
目立ちにくい
インビザラインは、従来の金属ワイヤーやブラケットを使用した矯正装置と異なり、透明なマウスピースを使用します。そのため、装着していても目立たず、周囲から気付かれにくい点がインビザラインの大きなメリットです。
透明なマウスピースにより、見た目を気にすることなく日常生活を送ることができるでしょう。
取り外しが可能
インビザラインの大きなメリットの一つは、必要に応じてマウスピースを自分で簡単に取り外せることです。食事をする時や歯を磨く時にはマウスピースを外すことができるため、従来の固定式の矯正装置と比較して、虫歯や歯周病のリスクを低減できます。
マウスピースを取り外して食事ができ、口腔ケアも通常通り行えるので、ストレスフリーな治療が可能です。
痛みや違和感が少ない
インビザラインでは、約0.5mmの厚さのマウスピースを1〜2週間ごとに新しいものに交換して歯を動かします。マウスピースを交換しながら少しずつ歯を動かす設計となっているため、治療中の痛みを大幅に軽減できるのです。
また、従来の金属ワイヤーとブラケットを使用した矯正装置に比べて異物感が少なく、マウスピースが歯の部分だけを覆う最小限の形状であるため、違和感も少ないです。
通院回数が少ない
インビザライン矯正中は2～3か月に1回程度の頻度で通院します。ほかの矯正方法に比べて通院回数が少ない点はメリットといえるでしょう。
仕事や育児などで忙しい方や、頻繁に通院することが難しい方でも矯正治療を受けやすくなります。
治療実績が豊富
インビザラインは、世界中で1,280万人以上の治療実績（2022年6月時点）があり、その効果と安全性は数多くの研究によって実証されています。この豊富な治療実績は、インビザラインが信頼できる矯正治療方法であることを示しているといえるでしょう。
さらに、インビザラインは日々改良が加えられ、より確実で快適な治療が提供できるように進化し続けています。この継続的な改善努力により、インビザラインは患者さまにとってより良い選択肢となり、広く受け入れられているのです。
インビザラインのデメリット
一方、インビザラインにはデメリットもあります。
インビザラインのデメリットは、以下のとおりです。
自己管理が必要
インビザライン治療の効果を最大限に引き出すためには、マウスピースを1日20～22時間装着しなければなりません。これは、1日3回の食事や歯磨きの時間以外は基本的にマウスピースを外すことができないということを意味します。
治療計画はこの装着時間を前提として立てられており、指定された時間を守らない場合、予定通りの治療結果が得られなかったり、治療期間が延長したりする可能性があるのです。
適応症例が限られる
インビザラインは多様な症例に対応可能な矯正システムですが、歯を大きく平行移動させる必要がある場合には不向きです。
このようなケースでは、インビザラインのみでの治療が難しく、他の矯正方法を選択するか、インビザラインと従来の矯正治療を組み合わせて行う必要があります。
インビザラインで出っ歯を治すときは抜歯が必要？
インビザラインで歯並びを治す際、症例によっては抜歯が必要になることがあります。
抜歯をせずに出っ歯を治す場合と抜歯をして出っ歯を治す場合について、以下に詳しく解説します。
抜歯をせずに出っ歯を治す場合
抜歯をせずに出っ歯を治す方法は、主に2つあります。
中等度の出っ歯の場合
中等度の出っ歯の場合、歯列全体を後方に移動させて前歯を引っ込めるスペースを作る方法があります。奥歯から順に歯を後方へと移動させることで、抜歯をせずに前歯を引っ込めることができるのです。
軽度の出っ歯の場合
軽度の出っ歯の場合はディスキング（IPR）という方法が用いられます。これは、隣接する歯と歯の間を微細に削り、わずかなスペースを作り出す方法です。エナメル質を0.25～0.5㎜程度削り取ることにより、必要なスペースを確保します。
エナメル質には神経がないため、ディスキングによる痛みはないでしょう。
抜歯をして出っ歯を治す場合
中等度から重度の出っ歯を治療する際には、抜歯が必要となるケースが多いです。特に、第一小臼歯（手前から数えて4番目の歯）を抜歯して、できた隙間に前歯を移動させます。
抜歯をすることで、出っ歯の矯正治療に必要なスペースを確保し、歯並びを整えることができるのです。
インビザラインで出っ歯を治すための期間
インビザラインで出っ歯を治すための期間は、歯並びの状態や出っ歯の原因によって異なりますが、多くの場合は2〜3年程度で治療が完了します。軽度の出っ歯の場合は治療期間が短い場合があり、1年前後で終わることもあるでしょう。
インビザラインと従来のワイヤー矯正の治療期間に大きな差はないとされています。つまり、治療方法の選択が治療期間に直接的な影響を与えるわけではなく、個々の歯の状態や治療が必要な具体的な原因が期間を決定する主な要因となるのです。
インビザラインで出っ歯を治すための費用
インビザライン治療は保険が適用されません。自由診療のため治療費は歯科医院によって異なりますが、部分矯正の場合は約40万～50万円、全体矯正の場合は約70万～120万円が相場とされています。
この費用のほかに、診断料や検査料、毎月の調整料などが別途かかる場合があります。特に、調整料が都度必要になる場合、治療期間が延長すると総費用も増える可能性があります。
ただし、費用が安いという理由で歯科医院を選ぶと、歯科医師の技術不足により治療が不十分になるリスクがあり、結果的に追加費用が発生することがあります。そのため、費用だけでなく、信頼できる歯科医院かどうかなどを総合的に判断して選択することが重要です。
出っ歯をインビザラインで治せないときは
インビザラインでの矯正が適さないと診断された場合、一般的にはワイヤー矯正が推奨されます。ワイヤー矯正は、重度の歯並びや噛み合わせの問題に対処できる治療法です。
さらに、ワイヤー矯正だけでは解決できないケースでは、外科手術が必要になることがあります。外科手術を組み合わせた治療は、骨格の問題を含む出っ歯を根本的に改善するために行われることが多く、より効果的な結果を期待できるでしょう。
まとめ
今回は、インビザラインで出っ歯は治せるのか解説しました。
インビザラインは透明なマウスピースを用いた矯正治療法です。目立ちにくく、痛みが少ないなど、多くのメリットがあります。
ただし、インビザラインはすべての症例に対応できるわけではありません。歯の傾斜によって生じている出っ歯や軽度の骨格のズレが原因の出っ歯であればインビザラインで治せます。
しかし、骨格のズレが重度の場合は、インビザラインだけでは治せず、外科手術が必要になることが多いです。また、インビザラインで出っ歯を治す際、場合によっては抜歯が必要になることもあります。
出っ歯をインビザラインで治したいと考えている方は、一度カウンセリングを受けるとよいでしょう。
インビザラインを検討されている方は、三重県津市にある川村歯科クリニックにお気軽にご相談ください。
