インビザライン治療は痛い?痛みが出るタイミングと対処法を解説!

こんにちは。三重県津市にある川村歯科クリニックです。

インビザライン治療で痛いと感じる方は一定数いらっしゃいます。

しかし、インビザラインはゆっくりと歯を動かすため、痛みの程度はワイヤー矯正に比べて低いといえるでしょう。

今回は、インビザライン治療で痛みが出るタイミングと対処法について解説します。

インビザライン治療は痛いの?

両手で疑問の様子をあらわす女性

インビザラインの治療中に痛みを感じる可能性はあります。ワイヤー矯正と比べて、インビザラインは歯を少しずつゆっくりと動かすため、一般的には痛みをあまり感じません。

しかし、痛みの感じ方は人それぞれで、治療の進め方によっては「全く痛みを感じない」と断言できません。

これからインビザライン治療を受ける方は、治療中に痛みを感じる原因、痛みの対策について理解しておくとよいでしょう。事前に知識を得ることで、より安心して治療にのぞむことができます。

インビザライン治療中に痛みがでるタイミングと原因

歯が痛み頬をおさえている女性

インビザライン治療中に痛みがでるタイミングと原因はさまざまです。

以下、考えられる7つのタイミングと原因について解説します。

歯が動いているとき

歯は骨によってしっかりと固定されているため、少し力が加わっただけでは簡単には動きません。

しかし、マウスピース(アライナー)のような矯正器具を使って歯に持続的に力を加えると、歯と骨の間に存在する歯根膜が変形し、骨自体も少しずつ変形することで歯は動き始めます。歯が動き始める段階が特に痛みを引き起こしやすく、新たに装置を取り付けたあとの3〜6時間程度で痛みが出始め、約3日間で痛みのピークに達し、その後は徐々に痛みは軽減するでしょう。

ただし、痛みの程度は人により異なり、また使用する矯正器具によっても異なります。たとえば、インビザラインのようなマウスピース矯正は全体的に緩やかな力を歯にかけるため、新しい装置を取り付けた直後の2〜3日間は違和感があるものの、痛みは比較的少ないとされています。

着脱時にアタッチメントが引っかかるとき

インビザライン矯正では、歯にマウスピースを装着するだけでなく、白い「アタッチメント」を取り付けることもあります。

アタッチメントは、マウスピースが歯に加える力を調節する役割があります。アタッチメントを装着した状態でマウスピースの着脱を行うと、アタッチメントが引っかかって痛みを感じることがあるかもしれません。

しかし、アタッチメントは矯正治療が完了するまで取り外すことはできません。

矯正装置が歯茎や粘膜を刺激しているとき

マウスピースが歯茎や頬の粘膜に触れることで、痛みを感じることがあります。特に、マウスピースの端が尖っている場合や歯茎に直接触れている場合は、粘膜が刺激されて痛みを引き起こす可能性があります。

さらに、食事などでマウスピースを取り外した際に、アタッチメントが頬や唇の粘膜に触れ、傷つけることで痛みを感じることもあるでしょう。

硬い食べ物を噛むとき

先述したように、インビザライン治療を進める中で、新しいマウスピースに変えた直後や歯が動き始めると、一時的に歯が痛みを感じることがあります。

この痛みは、食事する際や歯を噛み合わせたときに特に強く感じることがあります。なぜなら、噛む動作が歯や歯根に追加の圧力を加え、圧力が既に感じている痛みをさらに増強させるからです。そのため、硬いものを噛むときはかかる圧力も大きくなるため、痛みを感じやすくなります。

歯が動いているときの痛みは、だいたい1週間程度で軽減し、噛んだときの痛みも徐々に薄れていきます。

後戻りしているとき

インビザラインの効果を最大限に発揮するためには、歯科医師から指示された装着時間を厳守することが重要です。一般的に、1日の装着時間は20〜22時間以上とされています。インビザラインは装着時間を守ることで、歯に適切な力を持続的に加え、歯を理想の位置に移動させることができるのです。

しかし、指定された装着時間を守らない、つまりマウスピースを装着しない期間が長くなると、歯は「後戻り」してしまう可能性があります。「後戻り」とは、矯正治療を始めた初めの位置に歯が戻ってしまう現象のことを指します。矯正治療中は、歯と骨が不安定で動きやすい状態にあることが後戻りの理由です。

マウスピースの装着が不十分だと、歯は後戻りし、結果的にマウスピースが適合しなくなります。後戻りした状態でマウスピースを装着しようとすると、違和感や痛みを伴うことがあります。そのため、マウスピース矯正の効果を十分に得るためには、指定された装着時間を必ず守りましょう。

ゴムかけをするとき

矯正治療の一環として、顎の位置や噛み合わせを調整するために「顎間ゴム」という小さな輪ゴムを使用することがあります。顎間ゴムは、上下の歯列(つまり、上の顎と下の顎の歯)を正しい位置関係に保つために使用します。

顎間ゴムは、歯に対して一定の引っ張る力を加え、その力が歯を少しずつ移動させ、最終的には理想的な位置や噛み合わせに導くのです。

しかし、顎間ゴムの力が歯に加わることで、一時的に歯が動く痛みを感じることがあります。特に、顎間ゴムを初めて装着したときや新しいゴムに交換したときは、痛みを強く感じることもあるでしょう。

ただし、痛みは歯と周囲の組織が新たな力に適応し始めると、徐々に軽減されます。顎間ゴムは矯正治療において重要な役割を果たすため、痛みを感じることがあっても使用し続けることが重要です。

抜歯した部分が痛むとき

インビザラインは抜歯を必要としない矯正法と一般的に思われがちですが、症状が重度の場合は抜歯を行うことがあります。インビザラインは痛みを最小限におさえられるメリットがあり、抜歯を伴う場合でも通常の矯正治療に比べて痛みは少ないです。

しかし、抜歯自体は一定の痛みを伴うため、抜歯の痛みが目立って「痛い」と感じることもあるでしょう。

インビザライン治療中に痛みがでたときの対処法

ドミノが倒れるのを指でおさえている

インビザライン治療中に痛みがでた場合、まず2~3日様子を見ましょう。歯が動くときの痛みは、数日~1週間以内で治まるからです。

しかし、痛みが強い場合や1週間以上痛みが続く場合などは、早めに歯科医院でご相談ください。

以下、インビザライン治療中に痛みがでたときの対処法について解説します。

ひとつ前のマウスピースを装着する

新しいインビザラインのマウスピース(アライナー)に交換したあと、予想以上に強い痛みが続く場合、ひとつ前のマウスピースに戻すことで痛みの程度を確認するとよいでしょう。

新しいマウスピースへの交換後に強い痛みや違和感がある場合、前のマウスピースを数日間装着してから再び新しいマウスピースに戻すと、痛みが軽減されるケースがあります。マウスピースの装着時間が短かった日があった場合など、歯がまだ新しいマウスピースに適応できるほど動いていなかった可能性が考えられます。そのため、歯が適切に調整されるまで、ひとつ前のマウスピースに戻すことで、痛みをやわらげることが可能です。

鎮痛剤を服用する

インビザラインのマウスピース(アライナー)の交換や顎間ゴムの使用で痛みを感じる場合、鎮痛剤の利用が効果的とされています。鎮痛剤は歯科医院で処方されることがありますが、市販の製品を購入して使用することも可能です。

ただし、鎮痛剤には炎症をおさえる作用があり、逆に歯の動きを鈍らせる可能性もあります。鎮痛剤は我慢できないほど強い痛みの場合のみに使用し、軽度の痛みはそのまま様子をみるのがよいでしょう。

また、新しいマウスピースに交換した直後は、特に痛みがでやすいです。そのため、マウスピースの交換の日は特別な予定を入れず、できるだけ安静に過ごしましょう。

マウスピースの粗い部分を削る

インビザラインのマウスピースは、アメリカのアライン・テクノロジー社で製造され、検品を経て患者さまのもとへ届けられます。

しかし、マウスピースの中には微細な研磨不足が存在することがあります。研磨不足のマウスピースは、装着した際に尖った部分などが舌や粘膜に触れて痛みを感じることがあるでしょう。

このような状況を放置すると、毎回同じ場所が擦れてしまうため、口内炎の発生や痛みを引き起こすリスクがあります。そのため、マウスピースに突出部分や断面が粗い部分がある場合、紙やすりでマウスピースを磨くのがよいでしょう。表面を滑らかにすることで口内での擦れを軽減し、痛みや口内炎を防ぐことができるでしょう。

矯正用ワックスを使用する

インビザラインの矯正治療では、食事などでマウスピースを外した際、歯に付けられたアタッチメントがお口の中にあたって痛みを感じることがあります。そこで役立つのが「矯正用ワックス」です。

矯正用ワックスは粘土のような形状で、突出したアタッチメント部分を覆うように使用します。アタッチメントが直接口内に触れることを防ぎ、アタッチメントによる刺激から粘膜を守ることができるのです。

矯正用ワックスは、矯正治療を受けている歯科医院などで購入可能です。

硬い食べ物をさける

インビザライン矯正を行う際、特に初期段階や新しいマウスピースへの交換直後は歯が動く痛みを感じることが多いです。

この時期に硬い食べ物をとると、噛む力により歯へ刺激が強く伝わり、痛みが増す可能性があります。そのため、噛む際に刺激が少ない食べ物を選ぶことが大切です。たとえば、おかゆやスープなど、柔らかく、噛む力をあまり必要としない食事を心がけましょう。柔らかさの目安として「指でつぶせる程度」がよいでしょう。

治療計画を変更する

インビザラインの痛みがどうしても我慢できない場合、治療計画の見直しが必要となることもあります。

通常、専門知識をもつ歯科医師によるインビザライン治療では、治療計画のミスはほとんどありません。

しかし、経験が浅い歯科医師やインビザラインの専門ではない歯科医師が治療を行う場合、まれに問題が生じることがあります。どうしても痛みが我慢できない場合は、担当の歯科医師とご相談のうえ、治療計画の見直しを検討することが必要です。痛みを感じることなく、安全かつ効果的に矯正を進めるためにも、早めに担当の歯科医師にご相談されるのがよいでしょう。

まとめ

インビザラインを手に持ち笑顔の女性

インビザライン治療は、ワイヤー矯正に比べて歯をゆっくりと動かすため、痛みが少ない傾向にあります。

しかし、痛みを全く感じないわけではありません。歯を動かすには力が必要となるため、矯正中に痛みを感じることがあります。痛みの程度は人によって異なり、ほとんど痛みを感じない方もいれば鎮痛剤を使用するほど痛みを感じる方もいらっしゃいます。歯を動かすことによる痛みは一般的に数日~1週間以内で治まるといわれているため、その間は硬い食べ物はさけるなど、できるだけ刺激を与えないことが大切です。

痛みが強い場合や、長引く場合は、マウスピースの調整が必要となることもあるため、早めに歯科医院でご相談ください。

インビザラインを検討されている方は、三重県津市にある川村歯科クリニックにお気軽にご相談ください。

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